kintoneを使う(13) ~ コーディング開発の比較
ノンコーディングでのビジネスロジックがほとんどない
ここまで、色々kintoneを触ってきました。
DBの機能やスペースの機能は業務に直結する一定レベルの機能があることがわかりました。
一方で、ビジネスロジックの機能に関してはノンコーディングでできる機能がほとんどありませんでした。理解している部分ですと、「プロセス」「アクション」くらいのように思えました。
Dynamics 365の機能を紹介
Dynamics 365では、以下のノンコーディング処理を搭載しています。
・業務ルール:JSコーディングの簡易機能をGUIで実現
※JSコーディングも別途サポート
・ワークフロー:「アクション」機能を高度化したイメージ。
業務ルール
フォーム画面上での処理です。エディターはこんな感じです。
各機能のざっくりとした意味合いは以下を参照してください。
旧バージョンなので、画面は異なりますが、概ねできることは一緒です。
https://blogs.msdn.microsoft.com/crmjapan/2013/10/16/dynamics-crm-2013fall-13-11/
こんな感じに設定します。
ワークフロー
保存時もしくは任意のタイミング(ボタン的)にデータの処理をする機能です。
エディターはこんな感じです。
右側の「開始時期」等でタイミングを設定します。
レコードの作成時とか、ある値が変更された(されて保存された)時など。
下の画面に処理を選択します。
「案件が登録されたとき、2週間先に提案書作成のタスクを作成し、2週間先に再訪の予定を作成する」などのようなことができます。
※このくらいの機能であれば、「アクション」でできるかもしれませんが。
そのほか処理ができることは以下です。
比較して思うこと
kintoneにももう少しノンコーディング処理機能があってもいいかなと思います。
やはりJSコーディングにはハードルがありますし、このような機能の一部があるとより優しいシステムになるのではないかと思います。
当然ですが、この範疇を超えてコーディングをすることはかなりのケースでありますので、搭載機能の取捨選択は十分に行う必要があります。
kintoneを使う(12) ~「スペース」を試す
DB機能とは毛色の違う機能
スペース機能を試してみたいと思います。
スペースとは、『「スペース」とは、プロジェクトやタスクを進行する際に必要なやり取りを集約することができる「場」のことです。例えばテーマごとにディスカッション(掲示板機能)を作成したり、Wikiのように情報を蓄積していくことができます。
またスペースに加入するメンバーを選んだり、公開範囲を柔軟に設定することも可能です。』とのことです。
MicrosoftでいうところのSharePointのサイト機能に類似していると思います。
この辺を意識しながら試してみたいと思います。
スペース(普通/内部用)を作成する
チュートリアルの画面でスペースに関するものが見当たらなかったので、「スペース kintone」とググってみたところ、テンプレートというものがサジェスチョンされました。その先に遷移するとヘルプにたどり着きます。
事前に準備されているのではなく、自分でテンプレート化することができるという機能のようでした。そのほかの情報をさっとみたところ、手順のようなものは見当たらなかったので、手探りにやってみたいと思います。
トップ画面にスペースの作成がありますのでこれをクリックします。
「はじめから作る」をクリックします。
スペース名を入力して、メンバー限定チェックと高機能チェック(たぶん)を入れてみます。参加メンバーは、まずは自分だけにしてみます。「保存」をクリック。
スペースができました。見た目はトップ画面と同じようですが、「通知」がなかったり、「スレッド」があったりとちょっとずつ違います。
トップページからの見え方はこんな感じ。
デフォルト機能を試す
まずは「スレッド」を試してみたいと思います。
スレッドへ投稿するにはワンクリック必要です。
スレッドへの投稿内容はトップ画面からはわかりません。
カスタマイズできるのかもしれませんが、ぱっと見はわかりませんでした。
もうちょっと見やすい形でもよいかと思います。
「アプリ」はトップ画面と同じものと思われるので、スキップします。
「ピープル」もおそらくこのスペースへの参加管理程度と思われるので、スキップします。
「関連リンク」はアプリもしくはスペースのリンク集のようです。
その他の設定を試してみたいと思います。
まずできそうなことはレイアウトの変更。ですが、容易に操作方法がわかりませんでした。テンプレート化できるので、おそらく可能だと思います。
制御を試す
招待されていないユーザーからアクセスできないかを試してみたいと思います。
確認は2点。スペースが見えないか、ドキュメントが検索されないか。
後者を試すため、「ファイル管理」アプリを追加し、「ファイル管理(スペース内)」に名称を変更します。マーケティング資料サンプルを追加します。
スペース作成者での検索結果はこちら。
まずは、この状態で招待されていないユーザーからのアクセスを確認します。
スペースには何も表示されません。
検索してみてもドキュメントにはアクセスできません。
※そのほかのファイル名やドキュメント内の文字列でも検索されません。
ユーザーを招待してみます。おそらくピープルに追加するだけだと思われます。
その後、招待されたユーザーでアクセスしてみます。
スペースが表示されました。
検索してみます。ドキュメントが検索されました。
※そのほかのファイル名やドキュメント内の文字列でも検索されました。
最後に、招待したユーザーをピープルから削除します。
即座にスペースの表示はなくなり、検索はできなくなりました。
ゲストスペースを作成する
外部ユーザーの利用を想定した機能である、ゲストスペースを作成してみたいと思います。
スペースには階層構造がないようです。上記で作成したスペース内にさらにスペースを作るという構造にはならないようです。
トップ画面からゲストスペースを作成します。
ゲストスペースは非公開だけのようです。
今回は2番目のチェックを外してみました。
こんな感じです。
味気ないので、2つ目のチェックを入れなおしたいと思います。
あまり変わりないですね。「アプリ」を使ったりすることはできないようです。
と思いましたが、トップ画面からアクセスしなおすと内部用と同じ表示でした。
画面遷移は同じでよいような気がします。
ゲストを追加してみたいと思います。同じようにピープルを追加しています。
ゲストのタブが表示されています。
メールアドレスが必要です。
招待中になりました。
招待された受信トレイには即座にメールが届きます。
リンクをクリックすると以下のアカウント作成画面になります。
ゲストスペースにログインできました。
アプリの作成等管理機能は提供されませんが、内部ユーザー用と同じように利用ができそうです。
※トップ画面
※ゲストスペース画面
最後にゲストユーザーにて、iOSアプリからアクセスできるかを試します。
残念ながらこの機能は提供されていないようです。
「組織とユーザーの管理」画面では、ゲストユーザーの表示がありません。
スマートフォンアプリは有償ライセンスユーザーのみの権利のようです。
比較して感じること
スペースは非常にシンプルな機能です。シンプルに外部ユーザーも追加できます。
Dynamics 365には「ポータル」という機能で外部ユーザーの利用を無償で行えますが、開発者向けCMSというイメージですので、諸設定のハードルが高いです。
Microsoft Dynamics 365 新機能: Portal アドオン その 1 – Japan Microsoft Dynamics 365 Team Blog
SharePoint Onlineはあまり詳しくありませんが、同等以上の機能があるように感じます。ただし、アプリ機能を利用するようなものはなく、チームワークを実践するという点では、kintoneのほうがより早く、優しく使えそうな印象を受けます。
kintoneを使う(11) ~「ファイル管理」を試す
kintoneに入力するのかファイルを添付するのか
情報共有はメールのメッセージ/添付のようなフローの情報管理とファイルサーバへのファイル保存のようなストックの情報管理が基本であり、それぞれが進化してきているようにとらえています。
何をどこに保存するか、どのように管理すべきか、という問題に答えるには難しく、データの集計が必要な場合は、データとしてDBに入力し、塊として扱う場合はファイルとして扱うべきなのでしょう。
kintoneはファイル内の検索性を高め、両者を両立しようとしているように思えます。
「ファイル管理」アプリで機能を試す
いつも通りストアアプリを追加します。
追加するドキュメントは以下。
各文字列が重複しないようにレコードを作成します。
検索を実行する
「営業」で検索。即座にファイル名で検索されました。
「案件」で検索。即座にレコードタイトルで検索されました。
「競業避止義務」で検索。即座にファイル内のテキスト検索されました。
必要な機能
必要な機能は「制御」と「エクスプローラー」だと思います。
検索させるべきではないファイルは当然存在します。これをどう制御するのかはポイントになると思います。きっちり調べていませんが、スペースで制御したり、レコード単位の制御などを組み合わせることで一定レベルの制御は可能だと思います。
もうひとつの「エクスプローラー」機能は、M-SOLUTIONSさんがプラグインを提供しているようです。エクスプローラーからファイルを探すというより、適切な保存先はどこかということを探す用途に利用されるのではないかと思います。
比較して感じること
Dynamics 365では同じような添付はこのような形で実現できます。
検索結果は、以下です。※「営業資料」エンティティを利用しても結果は同様
ファイル内の検索はできません。
そもそもファイル管理には、SharePoint Onlineが存在し、現在はこちらと連携する実装が一般的です。ファイル管理する上での問題点は、大量のストレージが必要になるということです。これを解決し、検索性がそもそも高いSharePoint Onlineとの連携をするといった具合です。
kintoneを使う(10) ~「モバイル」を試す
スマートフォンの操作性を試す
ブラウザでの操作性は色々試しました。
スマートフォンの操作性を試してみたいと思います。
iOS用のkintoneアプリをダウンロードし、認証情報を入力してログインします。
フォトレポートから写真を追加してみたいと思います。
「フォトライブラリ」から追加します。
保存して参照してみます。
見やすい形で表示されました。
比較して感じること
Microsoft Dynamics CRM Mobile Phone Apps - What's Available, What's Next!
Dynamics 365にもモバイルアプリは存在します。
しかしながら、「アプリの更新」相当の処理をすると、
起動時に構成情報のダウンロードが行われ、ユーザーに影響します。
kintoneのようにアプリがサクサク動くのはよいと思います。
kintoneを使う(9) ~「ガントチャート」とJS開発を試す
少しグラフィカルな開発を試す
グラフィカルな機能を試すにはJSでの開発が必要です。
私自身はJS開発になれていなく、サンプルがあるということで「To Do」アプリを試してみたいと思います。
Dynamics 365にもProject Onlineと連携するProject Service機能があることからこれを試してみたいという気になりました。
いつも通り、アプリ追加から設定
「To Do」アプリの追加をします。
追加されました。
「To Do」アプリをクリックすると、JSサンプルコードへのリンクがあります。
Developer Networkサイトが表示されますので、これに従ってみます。
より複雑な完成形をめざすにはフィールドカスタマイズが必要とのことです。
ガントチャートプラグインのアップデートを詳細解説 – cybozu developer network
こちらを参考に追加します。
手順は明確ではありませんが、グループを追加して、既存のフィールドを配置してみます。
テーブルにしようとしたところでエラーとなりました。
既存フィールド削除し、再作成してみたいと思います。
再作成してもだめでした。グループを追加したことが悪かったみたいです。
※エラーにも表示されていました。
グループをとりはずすとうまくいきます。
テーブルの名前は「Table」にする必要があるとのことです。
次にプラグインの設定をします。
まずはダウンロード。
ソースの保存先はGithubなんですね。
Download Zipをクリックします。
という手順を進めていましたが、パッケージングというややこしい手順がありました。
手順サイト上にはパッケージングされた「gantt_plugin_v2.0.3.zip」というものがありましたので、こちらを利用しようと思います。手順変更です。
パッケージをkintone上で取り込みます。
設定のからプラグインをクリックして取り込めるのかなと思いつつ。
取り込めませんでした。
※警告を出すなら、同時にリンクしてくれれば親切です。
おそらくこれかなと思います。
プラグインかなと思います。
こちらで解説されている「読み込む」が表示されているのでこれであってそうです。
「読み込む」をクリックしてファイルを参照します。
プラグインが読み込まれました。
再度、「To Do」アプリの設定からプラグインをクリックすると表示されました。
追加をクリックします。
必須項目が設定されていないので、設定マークをクリックします。
設定内容を設定する画面が表示されます。
developer networkに記載があるとおりに設定して保存します。
アプリの更新をして、レコードを表示すると表示されました。
比較して感じること
比較的容易なカスタマイズでした。1時間程度でしょうか。
最低限のものは表示できます。
ドラッグアンドドロップへ変更や、一覧画面からレコードの追加(コピー)ができると
Excelと遜色ない機能だと思います。
Dynamics 365ではもう少し高機能ですが、利用方法を理解するまでは数十倍の時間がかかると思います。
kintoneを使う(8) ~「商品見積書パック」を試す
ドキュメント連携は如何ほどか
試してみたい機能第二弾です。
DBやプロセスの機能は一定程度のものがあると感じました。
ただ、業務を効率化するにはアウトプットが重要です。
これをどの程度実現できるのかを確認してみたく、「商品見積書パック」を試してみたいと思います。
設定はストアから作成
ストアのアプリを利用してみたいと思います。
名称通りであれば、見積書がアウトプットされる機能まで包含されているはずです。
いつも通り、ストアから「商品見積書パック」をクリックします。
「このアプリパックを追加」をクリックします。
「追加」をクリックします。
「商品リスト」と「見積書」アプリが追加されました。
「商品リスト」を適当に作成します。
「見積書」でヘッダー部分を作成します。
一覧部分の「取得」をクリックし、「商品リスト」データを参照します。
※「見積書」画面から「商品リスト」を追加することはできないようです。
メーカーのように商品が確定しているケースに有効です。
単価の修正や値引きは搭載されていません。
一度保存します。特別な印刷ボタンは表示されません。
標準の印刷ボタンとOSのPDF保存機能などで保存ができます。
比較して思うこと
Dynamics 365ではデフォルトで見積機能が搭載されていますが、価格表等の設定をある程度複雑かつ一定の標準的利用方法に沿って設定する必要があります。
出力はWord差し込み印刷にて実施できるため、レイアウトに柔軟性がありますが、PDFへの一発出力のような機能を利用する場合は開発が必要です。
総じて、同レベルの機能であると感じます。
kintoneに関しては最低限の機能は搭載されている感じですが、
もう少しリッチにしてもよいと思います。
- 単価を変更できる
- 値引きが行える
- 承認と承認後の社印の押印
- 承認後の読み取り専用化
このくらいの機能があると利用できそうという感覚を持てると思います。
kintoneを使う(7) ~プロセス管理を試す
Dynamics 365にはない機能を試す
どの程度のことができるのか期待しつつ、試してみたいと思います。
チュートリアルにはありませんが、製品資料で解説がされています。
まずはこれ通りにやってみたいと思います。
※https://kintone.cybozu.com/jp/feature/pdf/kintone_guidebook_vol07.pdf
まずは、備品購入申請アプリが必要とのことなので、アプリの追加をします。
と思いましたが、ありませんでした。
申請すべきアプリは何でもいいと思いますので適当なものにします。
今回は、「顧客情報」アプリにします。顧客登録の申請業務ということで。
プロセス管理を有効にします。
アプリの設定画面からプロセス管理をクリックします。
プロセスの有効チェックを入れます。
ドキュメントに従って、ステータスを編集します。
プロセスを定義します。
ステータス毎に、作業者とアクションを定義します。
「未処理」段階では、特に作業者を設定しないことにします。
レコード作成者が申請を開始する前提です。
すべてのレコードに対して実行できるようにしておきます。実務では制御が必要そうですね。
処理後は次のステータスである「上長確認中」に遷移するようにし、
アクション名は「申請する」とします。
次のステータスの「上長承認中」です。
ここで詰まりました。
作業者は「承認者」にすべきなのですが、「承認者」のフィールドがないため、
設定ができません。
フィールドの設定をしようと思いましたが面倒なのでここで止めます。
「物品購入申請」アプリを確認する
実は、「物品購入申請」というアプリがストアにあります。
これを確認したいと思います。
ちょっとみたところ、ドキュメントと同じ設定になっています。
※ドキュメント作成後、ストアに追加されたのでしょうか。
ほとんど一緒です。
動作を確認する
P.18からの記載の操作をしてみたいと思います。
まずは起票です。承認者をいれて適当にデータを作成し、保存します。
その後「申請する」から「実行」をクリックします。
ステータスが「上長確認中」となりました。
一般的には、この状態になると申請者は読み取り専用になるはずですが、ならないようです。タイトルを更新してみました。
この時点の推測ですが、あえて制御をいれていないのではと思います。
シンプルに作って、レコードの更新履歴で後から追跡できるようにするといった思想でしょうか。当然、承認はできません。ボタンが表示されません。
承認者でログインをして承認をしてみたいと思います。
承認と差し戻しのボタンが表示されました。
承認するから「実行」をクリックします。
ステータスが「承認」になりました。
一般的に承認後はデータがロックされるものですが、承認者でデータが更新できます。
起票者はどうかというとデータの変更ができます。
変更履歴にはちゃんと履歴が残っています。
比較して感じること
このレベルの承認機能が容易に作成できることには意義があると思います。
これで十分と考えるユーザーも多く存在すると思います。
一方で、エンタープライズレベルでは機能不足を指摘されると思います。
X-Pointなどのワークフロー製品との連携を視野にいれて設計することが大切だと思います。
ちなみに、Dynamics 365では、承認履歴アプリを作成し、関連フィールドで表示すると共に、ワークフローによる設定等で同等(以上)の機能を搭載することができます。
ただし、同等の機能を搭載するにしても2倍程度の工数がかかるような気がします。